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口腔がんの病期と治療法

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口腔がんの病期と治療法

病期とはがんの進行程度を示す言葉でステージとも呼ばれます。

病期はローマ字のI~IV期に分類され、IV期はさらにA、B、Cに分けられます。

口腔がんの病期は、がんの大きさ(T1~T4)、首のリンパ節(頸部リンパ節)への転移の状態(N0~N3)、他臓器への遠隔転移の有無(M0、M1)によって決まります。

病期
(ステージ)
N0 N1 N2 N3 M1
リンパ節への転移がない 3cm以下のリンパ節転移ががんと同じ側に1つある 3~6cmのリンパ節転移が1つまたは6cm以下の複数のリンパ節転移がある 6cmを超えるリンパ節転移がある 遠くの臓器に転移している
T1 がんの大きさが2cm以下 I III IV A IV B IV C
T2 がんの大きさが2cmを超えるが4cm以下 II III IV A IV B IV C
T3 がんの大きさが4cmを超える III III IV A IV B IV C
T4a 口の周囲(筋肉、皮膚、上顎洞)まで広がる IV A IV A IV A IV B IV C
T4b 頭、のどの深部、内頸動脈まで広がる IV B IV B IV B IV B IV C
遠くの臓器に転移していない(M0)

口腔がんの治療法は主に病期に基づいて決定されます。

手術療法と放射線療法が治療の中心で、状況に応じて化学療法が併用されます。
各病期に対する代表的な治療法は以下のごとくです。

I 期

手術療法または放射線療法が単独で行われます。

II 期

手術療法、放射線治療のどちらか、または両方が行われます。
場合により化学療法が追加されます。

III 期

手術療法が行われます。放射線治療や化学療法もよく併用されます。

IV A~C 期(手術で切除可能ながん)

手術療法が行われます。
放射線治療や化学療法もよく併用されます。

IV A~C 期(手術で切除できないがん)

放射線療法と化学療法が行われます。
場合によっては積極的な治療の代わりに緩和ケアを行うこともあります。

以上は、口腔がんに対する代表的な治療法ですが、患者さんの全身状態、年齢、職業、希望によっても変わってくるため、日本全国に共通した一定の治療法というのは決まっていないのが現状です。
また、近年、放射線療法ではいくつかの新しい方法が開発され、化学療法においても、がんの栄養動脈に直接抗がん剤を注入する動注法などが考案され高い効果が得られるようになっています。
そのため上記に記載した方法とは異なった治療法を選択している病院もあります。

下記は現在、各病期に対して用いられる治療法です。

病気と治療法 I 期 II 期 III 期 IV 期(切除可能) IV 期(切除困難)
手術療法 原発巣手術 -
頸部郭清術 -
再建手術 - -
放射線療法
化学療法 -

◎:よく用いられる ○:用いられる △:状況によって用いられる -:あまり用いられない

原発巣手術:

口腔内のがんがある部分を原発巣といい、この部分を切除する手術です。
良性腫瘍の手術と異なり、がんの周囲の正常組織も含め大きめに切除します。

頸部郭清術:

首のリンパ節にがんが転移した場合、または転移が疑われる場合に行われる手術です。
転移したリンパ節のみを摘出するだけでなく、他のリンパ節およびリンパ節周囲の脂肪組織や神経・血管・筋肉なども含め切除します。

再建手術:

原発巣手術により欠損が生じた部分に、体のほかの部分の組織を移植して、欠損部分を補う手術です。
腕・腹部・胸部などの皮膚や筋肉、腸骨(腰の骨)、腓骨(足の骨)などが用いられます。
また、チタンやインプラントも使用することもあります。

再建手術を行っても欠損部分が補われない場合はプロテーゼ(欠損部分を補う装具)やエピテーゼ(顎補綴・顎顔面補綴)を使用する場合もあります。

放射線療法:

高エネルギーX線などの放射線を使用してがんを小さくしたり消失させたりする治療法です。
がんが小さい場合は放射線単独で治療が可能なケースがあります。
進行したがんに対しては、手術療法や化学療法と併用して用いられます。
体の外部から照射(放射線を当てること)する外照射(コバルト-60など)と、放射線が出る特殊な針(Auグレインなど)をがんに刺して照射する組織内照射があります。

放射線治療には通常の放射線以外に陽子線(筑波大学 陽子線医学利用研究センター国立がんセンター東病院静岡県立静岡がんセンター兵庫県立粒子線医療センター若狭湾エネルギー研究センター)、重粒子線(重粒子医科学センター病院兵庫県立粒子線医療センター群馬大学 重粒子線医学研究センター)、中性子線などもあります。

化学療法:

抗がん剤による治療です。
初期のがん(I 期)に化学療法が行われることはあまりありません。
一般的に進行したがんに対して手術療法や放射線療法と併用して用いられます。
多くは注射薬で点滴により投与されますが、飲み薬もあります。

他に温熱療法や免疫療法などもあります。

口腔がんの指針は日本口腔腫瘍学会により下記のPDFで公表されています。

頬粘膜癌・口底癌取扱い指針
下顎歯肉癌取扱い指針
舌癌取扱い指針

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